2024-01-01から1年間の記事一覧

01.0 世界は美しいはずなんだって

昔コンビニで、万引する少女を見たことがある。 少女は棚を回りながら辺りを見回し、おもむろに鞄を広げてパンを1つ掴み中に入れた。瞬間、私と目があった。少女は顔を青くしながら鞄を持ち走り去っていった。その光景に驚いて、自分がどうすべきか考えて立…

モチベーションコントロール

3か月間色んな言い訳をしてサボり倒したジムに行った。生憎の雨の中、濡れた上着を片してトレーニングウェアに着替える。ただの焦燥にかられて来ただけでやる気が全くない。3か月前のトレーニングノートを見直しながらメニューを考える。間が空いたからこれ…

未来になれなかったあの夜に

放課後の音楽室で1人ピアノを弾いてた彼は、僕に気が付くと手招きしてきた。向かいの机に座ってピアノを聴いてた。鳴り止んだピアノを見ながら将来の話をした。「音楽をやれたらいいな」って笑いながら言ってた彼は数年後、東京のビルから飛び降りた。 なん…

感情を手放す方法

恋愛がうまくいかなかったからと言って、時が止まるわけではない。明日は容赦なくやってくるし、仕事はこなさなければいけない。休みをやけ酒で潰してもシャキッとして眠ろうと思うほどの理性が歳を感じさせる。 桜の花びらが散り、新緑が揺れている公園は暖…

春愁

「あと5年しか生きられないなら、何がしたい?」 ティーカップを置いた友人が、僕の目をまっすぐ見て聞いてきた。『何?余命の話?』ときくと静かに頷いた。窓の外に映る街の喧騒の中、若い男が変わりかけた信号に急かされて足早に横断歩道をかけるのが目の…

beautiful Trauma

『熱いお茶を飲めば内臓は暖まる。恋をすれば、心臓が熱くなる。いたいけなものを見れば、心の温度は上昇する。問題は、体のはしっこなのだ。触れてさすらなくては駄目。しかも、他人の手によって。』そう書いた山田詠美の物語は浮世離れしながら、でもどこ…

いつか飽きたとしても

寝落ちした寝息を聞いて可愛いなと思う。微睡みつつニヤけたら意識が混濁した。目が覚めて1番に声が聞けるだけで幸せだと思う。そんな些細なことが欲しかったものなんだと気がつく。いつかそんな日々も飽きてしまっても、それで良いんじゃないかと思うように…

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「おかえり」が聞こえない部屋で何度朝帰りしてもさして何も思わなかったのに、「行ってらっしゃい」だけを言われた日は部屋のドアが重い。 あぁ、僕らの周りの時間が止まればいいのにって何度も思うなんて青いなと思うから強くドアノブを回す。