徒花のはなむけ

多分、去年私は16年の付き合いの遊敵を失った。

ずっと共に働いたが同僚と呼ぶには土足で、友と呼ぶには不道徳すぎるそんな間柄だから多分、遊敵と呼ぶのがいいだろう。お互いに辟易して2年も話さなかったり、毎時間連絡したり、そんな極端な相手だが多分、1番嫌なところも良いところも知っていたと思う。他の誰かが言う寂しさなんかで言葉に表し切れないだろう焦燥の中、「いなくなったのに割ととドライだよね」などと言われたが(お前の目が曇ってるからそう見えるだけじゃボケェ)と心の中だけで悪態を吐きながら『そう?』と返してきた。多分、もう一生こんなに侃侃諤諤した相手も現れないだろう。死んではいないが、多分、もう、一緒には働かない。会話もいつものようするが、お互いに、もう、熱がない。辛いことを辛いと言えて、文句をお互いに言い合いながら何かを作ることをこれから誰かとできるんだろうか。そんな不安を持ちながら、未来を見てる。どうしようもないから、どーでも良い話をうだうだしながら、今度は旅がしたい。そんなことを考えている。